遠すぎたSnow Leopardへの道

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No.64 遠すぎたSnow Leopardへの道

 Mac OS X10.6というシステム、別名Snow Leopardが発売されたのは2009年の8月下旬だった。昔だったら新しいOSはすぐにでもインストールしたいのだが、今回のOSはこれといった斬新な機能も無いので、急ぐこともないかと少々冷めていた。モバイルに使っているMacBook Airなら良いが、仕事で使っているMacProをいきなりアップグレードするのは不安がある。特に音楽系のソフトは新しいOSに対応するまでに時間がかかったりするからだ。とりあえずはMacBook Airのほうにインストールしてみるかと思ったら、これが不良ディスクに当たってしまい、交換手続きを余儀なくされた。こんなことも珍しいものだが、Snow Leopardへの道のりとしては、まだ序盤だったのだ。

 仕事で使っているMacProにもSnow Leopardをインストールしたくなってきたのは、Magic Mouseを購入した時だ。慣性スクロールはLeopardでは体感できないという差別がしてあった。これはぼちぼちMacProのほうにもSnow Leopardを入れる時期かなと思い、2010年の1月にチャレンジ。この時にMacProの別の内蔵ハードディスクに新規インストールしたのだが、自動的に起動した「情報転送」という機能を使ってしまったのがいけなかったらしい。Leopardで使っていたアプリケーションはすべてそのまま持ってきてはくれたものの、Adobe系のソフトが動かない。ありゃ、やっぱり面倒だなと思い、またも常用システムはLeopardに戻っていた。

 そしてあれから2ヶ月近く経って、今度こそという思いでSnow Leopardに挑戦。Adobe関係は今のところPhotoshopしか使わないので、Elementsを新規に購入。
 早速インストールしてみたのだが、認証エラーで起動できない。Adobeのサポートに電話をしてみると、アップルの「情報転送」を行った際に生じている現象で、すでに対応策が用意されていた。(この時点で分かったのだが、情報転送アスシタントでアプリをコピーした場合、古いLeopardでもSnow Leopardでも動くらしい。とするとElementsは買わなくても良かったの? まあ、MacBook Airでも使いたいから無駄ではないのだが)
 さあ、これで気持ちよくSnow Leopardを使えるぞと思ったら、今度はメール受信でトラブル。複数のアカウントを使っているが、なぜかDTIだけが受信サーバーから跳ねられてしまう。新規にアカウントを作っても改善しない。こうなってくると個人ではギブアップである。アップルストア銀座のジーニアスバーを予約する。

 今の時代にMacを使う最大のメリットの一つはジーニアスバーがあることだと思う。ジーニアスバーは事前にネットで予約しておくと、マンツーマンでMacの不具合をその場で直してくれる。それは単純な操作方法の説明だけで済むこともあれば、ハードウエアの故障修理のためお預かりになることもある。とにかくMacの不具合が起きたら、何も考えずにジーニアスバーに行くのが私のやり方だ。

 担当してくれたのは女性だったが、症状を伝えると、テキパキと対策を施していく。
com.apple.mail.plistやcom.apple.keychainsync.plistといった書類を削除してアカウントを作り直してみるが症状は変わらず。OS自体にテストアカウントを作ってそこでメールアカウントを作ってみるが症状は変わらず。結果としては、情報転送の時に何か不具合が起きてしまったと思われるので、ハードディスクをイニシャライズしてもう一度新規にクリアインストールしたほうが良いでしょうというアドバイスをいただいた。

 そりゃさ、そのほうが確かだろうとは思った(この時はね)。ただすべてのアプリケーションをもう一度セットアップするというのは、かなりの待ち時間を強いられるし、中には認証のやり方をすっかり忘れているアプリケーションもある。前途多難だなと挫けそうになるが、意を決して実行。
 まずはSnow Leopardの新規インストール。その次にDTIのメールアカウントを作成するが、驚いたことに、これでも受信サーバーに接続できない。嘘のような本当の話。まあ、落ち着こう。DTIのアドレスは今やDMを受け取るばかりで、仕事や友人との連絡にはほとんど使っていないので、受信できないならそれでもいいかと。もう一台のMacBook Airでは受信できているし、iPhoneでも受信している。割り切ろうと思った。

 次に数時間かけてLogic Proをインストール。次に楽譜作成ソフトのSibeliusをインストール。と、ここでまたもアクシデント。Sibeliusを起動してみると「初めて起動する時には管理者じゃじゃないとダメだよ〜ん。あんた、本当に管理者け?」(もち真面目な英語)というメッセージが出て起動できない

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 それはまずい。ここでまたしてもアップルストアのジーニアスバーに予約を取って行ってみる。幸いなことに、2日前に担当だった女性についた。「あの〜、2日前のMacProでDTIのメールが受信できなかった件、覚えてらっしゃいますよね?」と苦笑しながら言ってみると、「あ、はい。覚えてます。その後上手くいきましたか?」と尋ねられたので、現在の状況を話す。さすがにイニシャライズ後の新規インストールでのトラブルとなると、手詰まりらしい。その場から内線電話でより詳しいエンジニアにSOS。すると受話器の先のエンジニアが別の対策を教えてくれた。

 私は現在MacProに複数の内蔵ハードディスクをマウントしており、無傷で動作しているLeopardは残っている。それならば、ディスク・ユーティリティーの復元機能を使って、このLeopardをそのままそっくり別の内蔵ハードディスクにコピーするのだという。そしてその上にSnow Leopardを上書きインストールしたらどうかと言うのだ。なるほど、確かにそれならメールを無事に受信しているシステムの上に差分を乗せるだけだからうまく行くかな。ただ、私はMacを使ってこの道20年、システムの上書きインストールはやってこなかった。つねに新規インストールを選んできた。だって上書きインストールって建築で言えば建て増し住宅みたいじゃない? 新規インストールはすべて一旦更地にして、基礎から作り直すから頑丈っていうイメージがあったんだけどな。

 さっそく家に帰って実行。1TB近い内蔵ハードディスクを復元するには6時間以上はかかるだろうと思い、晩酌をして寝る前に実行ボタンを押す。

 かくして朝起きると、復元作業は無事に終了していた。そこへSnow Leopardの上書きインストール。今ではクリーンインストールではなく、上書きインストールのほうがデフォルトになっているので、そのままインストールボタンをクリックすればいい。ただし、音楽ソフトでロゼッタを必要としているのがあるので、カスタマイズで「ロゼッタ」だけはチェックを入れた。
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 Snow Leopardのインストールが終わると、不思議なダイアログが1つ出ている。「Sysmte Eventsはどこにありますか」だって。何のことやらさっぱり分からない。「選択」ボタンはグレー表示で押せないので、とりあえず「キャンセル」をクリックしたら何事もないように動いている。結果オーライだろうか。

 その後メールソフトを起動すると、最初はDTIのメールアドレスは受信も送信もできた。しかしMobileMeと同期しますかと言われて、このMacをMobileMeで置き換えるという選択肢を選んだ途端に、DTIのアカウントがオフラインになってしまった。オンラインに変えても、なんだか送信サーバの設定が変だ。送信ができない。仕方ないのでもう一度アカウントを作り直してみる。やはり受信はできても送信ができない。

 あれ、待てよ。その症状って前にiPhoneで経験した。この時もジーニアスバーにiPhoneを持って行ってみたのだが、担当者も「不思議ですね。プロバイダーさんの言うとおりの設定にしても送信できませんね」と困っていた。そしてプロバイダの提示してある設定とは違うオプションを選ぶと、送信可能になったのだ。その時の担当者は「一応、これで送信が出来ているので、この状態で使ってみてください。実は僕も昔はDTIというプロバイダを使っていたけれど、数年前にシステムが変わってしまったので、やめてしまったんですよ」という裏話まで教えてくれた。

 このときのことを思い出して、送信サーバーの設定をアレコレとやったらようやく送信に成功Sibeliusも無事に動作している。どうやらやっとSnow Leopardに移行できたということになるのかな。

 パソコンにあまり詳しくない人にとっては、何でマニュアルどおりのことをしてもうまく行かないのかと不思議に思うだろう。ましてや、今回の対象はMacの中ではもっとも上位のMacProである。
 しかし、コンピュータというのはそういうものなのだ。モータースポーツのF1とか見ていると分かるでしょ。レースのスタートで、エンジン・ストールやトラブルで車が動かないなんていうシーンを何度見たか。ボロボロの軽トラックならまだしも、超高価なコンピュータ制御のF1がなんで本番のレースのスタートでエンコするんだよと思うかも知れないけど、コンピュータってそんなもんなんです

2010年3月7日(日曜日)